腱鞘炎はしつこく繰り返すのでいやになります。
使いすぎだから使わないようにと医師からいわれても、仕事で手を使う限り、使わないわけにはゆきません。
利き手の母指(おやゆび)が腱鞘炎を起こすと、家事全般もつらくなりますよね。
ボトルをつかむ、キャップをひねる、包丁で何かを切る、ふきんを絞る、重い鍋を持ち上げる等々、台所での動作は特に母指をひんぱんに使います。
尺骨を意識する
なんとか痛みを生じさせない使い方はないものか。
包丁でまな板の上で野菜や肉を切る時(押し切る動作や引いて切る動作)に、右腕の尺骨(前腕(肘〜手首まで部分)の小指側の骨のこと)に意識をむけてみました。
すると、包丁を掴んでいる右手の力が緩み、腱鞘炎による痛みもやわらぎます。
次に、梨を剥くとき、包丁を握る右手の小指を意識してみました。これも握力が少しだけ緩んで痛みをほとんど感じません。
包丁を取り落とすようなこともなく、安全面でも問題なく調理できました。
無駄な力を使っているかも
普段の7割の力でもじゅうぶんに包丁は扱えました。つまり、いつも無駄な力を込めて包丁を握って調理しているということです。認めたくはないけれど、それが腱鞘炎の痛みを悪化させている側面もあるでしょう。
なにかに集中している時、やたら力をこめていたり力んでしまったりしませんか?わたしはこれをよくやってしまいます。
弱い力とリラックスした身体でやれる動作でも、集中していると奥歯を噛み締める、肩に力が入る、目に力をこめる、口をへの字にするなどをやりがちです。
そして、困ったことに、身体は、得意な動作をムダにやりたがる傾向があります。
ヒトの手は握る・掴む動作が得意です。親指を他の指と対立させ、手のひらにモノを握れるように進化しているんですね。類人猿のほとんどがこの動作ができます。生まれたての赤子であっても、手のひらに刺激を与えると反射によってギュッと握ります。
だから、握る・掴むの動作についムダな力を籠め、そのことに無自覚のまま酷使してしまうのではないかと思います。
腱鞘炎を繰り返してしまう人は、何かを握りながらする動作では、尺骨や肘、小指などを意識してみてください。不要な力をこめて握っていると体感できるかもしれません。
意識を変えると動作が変わる。ヒトの身体は面白いですよね。