猫のお骨壷カバー

数年前に、先代猫ゆうたのお骨壷のカバーを縫いました。
ゆうたさんの目の色と毛の色が入ったデザインの布を選び、縦長の巾着みたいなものになっています。口は紐で絞る形にしました。

お骨壷のカバーからリボンを長めに垂らしてあるのは、生前、紐で遊ぶのがとても好きだったから。
普段はどっしり落ち着いてクールな様子のゆうたさんが、紐には目の色をかえて転がりまわってじゃれる様はほんとうにかわいかったんです。猫飼いさんならわかるとおもいますが、ギャップ萌えというやつです。

大事な猫を亡くしたあと、既存のお骨壷カバーの白々した模様織りをみるのもつらいものですよね。
お部屋の一角がそこだけ仏間感漂うのも喪失感をかきたてるし、自分の気持ちも、そこに視線をやるときは日常から切り離されて凍りついたままのようになってしまいます。死を異質なものとして感じたくないのに、従来のお骨壷のカバーからは異質なモノとしての存在感が滲み出てしまいます。

お骨壷のカバーを作っている業者の方には申し訳ないのですが、動物用のお骨壷カバーは人間用のミニチュアバージョンにしなくてもよいのでは?と感じます。

お骨壷カバーのススメ

裁縫や編み物の心得がある方なら、お骨壷のカバーは自作されることを心からお勧めします。

お骨壷にカバーを作ってあげる過程で、猫さんとの暮らしの様々な場面や感情を思い出します。楽しかったこと、かわいさに悶えたこと、驚かされたこと、愛おしかったことなどをたくさん思い出します。そのプロセスは大事だと思うからです。

こんなことをいうのも、わたしはペットロスがひどすぎて、ゆうたが亡くなってすぐにはお骨壷カバーをつくれなかったからです。思い出したら大泣きしてしまい、落ち込み、悲嘆に暮れて無気力になってしまうからでした。死んでしまったコに対しては、これ以上のお世話ができない。もうお水をとりかえてやることもブラシしてやることもできない。関われないんですよね。それがつらくてつらくて、「つらい」の時点で気持ちが止まり手も動かせなかったというのが実情です。

あるとき、「この素敵な布でお骨壷をくるんであげたら、たぶんもっとゆうたらしくみえる」と感じて一気にカバーを縫いました。それまでみるからに「お骨が入ってます!」という見た目だったものが、なんか素敵やんと感じられる佇まいになったことで気持ちがふっと楽になりました。骨壷をみても、つらい気持ちを以前ほど呼び覚まされなくなったのです。

受容のプロセス

死と喪失を受容するには段階があります。
愛猫のいない日常に、スイッチを切り替えるようにぱちっと心身とも切り替えられる人などいません。
死と喪失の受容に何年もかかることもあれば数週間とかからないこともあるでしょう。看取りから火葬までどのようなプロセスを歩んだのかにもよるし、その人の個性や猫さんとの関係性にもよります。

それに、「カバーをつくってあげたい」と思ったときに、手を動かせるかどうかも人によります。逆に、カバーを作ってあげたことで気持ちに区切りがつく人もいると思います。

お骨壷のカバーは服や実用品ではないので難しく考えずに作っていいし、ぜひ手を動かして作ってみてほしいと願っています。

ワークショップでもやろうかしら。
需要があればやります。コメントでもDMでもいいのでお声がけください。