2000年から私の片腕として活躍してくれたJUKIの職業用ミシン、TL-98SPからSL-700EXへ買い換えました。
今年になって、あと何年今のミシンを使えるだろうと思うことが増え、買い替えを漠然と考えていました。もちろん職業用ミシンは高価で、SL-700EXはメーカーの【希望小売価格(税込)】235,400円という圧倒的なお値段です。それもあって悩んでいました。「私のシュプール(TL-98SP)もまだまだ使えるし」と思って、選択と判断というストレスから目を逸らしていたわけです。
不注意で返縫いレバーを破損
ところが先日、床に置いていたシュプールをしゃがんで持ち上げた時、ズボンの裾に返縫いレバーを引っ掛けて折ってしまいました。折った断面はギザギザしているうえに波状になっています。粉々になって散った箇所もあり、接着剤でくっつけようにも断面がきっちりかみあわない。ああ、やってしまった。

このレバー自体は800円弱で買えます。しかし、交換するにはミシンを解体し組み上げ直さねばなりません。もちろん、レバーは単なるユーザーインターフェイスに過ぎず、重要なのは中の仕組みです。そこにはバネ構造も何箇所か含まれているため調整も発生する可能性が高い。つまり、「プロにお願いする」一択です。
修理して使うか、新しいミシンを買うか
修理して使い続けることももちろん考えました。
が、2000年からメンテナンスを繰り返して四半世紀以上使ってきたミシンです。自動糸切り機能は2019年に使えなくなり、翌年メインテナンスに出したら業者から「修理不可能」と言われてそのまま戻されています。自動糸切りが使えないのは地味に面倒で、いまだにイライラします。そして、自分の55歳という年齢を考えたら、次に買うミシンが最後の職業用ミシンとなることは確実です。
買っちゃうか、新しいやつ。
ダウングレードも考えた
新たな職業用ミシン購入の検討を再開し、一瞬、ダウングレードも考えました。
JUKIにはSL-100という職業用ミシンもあり、これは「革・合皮・デニム・帆布など厚物縫いのための機能が充実しており、20 番までの太糸が使用可能」です。700EXと同様にサブテンション、太糸テンションともに付いているし、針板を変えれば薄物〜普通地も縫える。ただし、自動糸切り機能はついていない。まぁ、これは今と同じだし我慢できなくもない。何より値段がかなりお安い。
そうは思えども、わたしは素人でミシンを知り尽くしているわけではない。そこで島田ミシン商会さんに相談してみました。
正解は人によって異なる
SL-700EXは自分にはオーバースペックなのではと思っていること、SL-100と700EXまたは300EXのどちらにしようか悩んでいることと併せて、下記の点をお伝えしました。
- 普段よく縫うものや素材
- 今までのミシンの気に入っていた機能(自動糸切りと厚物が縫える点)
- ミシンでストレスなく縫えたら嬉しい素材
島田ミシン商会さんからの回答は迅速でした。
回答をそのまま引用することは避けますが、よほどのことがない限りダウングレードはお勧めできないこと、ダウングレードすると満足できずすぐに買い換える人がいることなどを教えていただきました。帆布バッグや革の持ち手も縫えたら嬉しいと思っていたこともあり、TL-98SPと同じく20番手までの糸が使える700EXにしました。
薄手の布がメインで厚物は滅多に縫わない人なら、SL-300EXでもいいと思います。ミシン選びの正解は人によってそれぞれです。高齢者なら軽い家庭用ミシンの方がいいと思いますし、パワフルな職業用ミシンは子どもには危険なのでお子さんには不向きです。
進化をなめてた
届いたSL-700EXの箱はとても大きかったです。でも、左右の側面に空いていた、手を差し入れて持ち運ぶための凹みがなくなっていました。
それもそのはず。JUKIは2000年代後半から国内工場を次々と閉め、700EXも中国工場で作られています。海を渡ってくるから箱に穴など開けていたらダメなのです。そのことにショックを受けつつ(TL-98SPは日本製だったのよ!)、開梱。セットアップが完了して縫いはじめてみたら職業用ミシンの進化に驚きました。
手元を照らすライトがLEDでとても見やすい
下記にスクリーンショットを載せますが、手元を照らすライトがLEDになっていました。商品説明ページを見ても「ふーん。こんなところにもLED化の波が押し寄せてるのね」ぐらいにしか思わず、魅力を感じていませんでした。しかしこれが老眼に非常に効果的でした。見える!見えるよ!!!とひとりで興奮してしまったほどです。

しかも光量を調整できるし(メインスイッチを切るとその設定もリセットされちゃうけど)、熱くならない。夏、36度近くなるキッチンでミシンをかけている私には本当にありがたい。
フットコントローラー用のコードと電源コードが分離
ミシンのフットコントローラーは電源コードと一体化しているものがほとんどだと思います。SL-700EXはこれが別々で、フットコントローラーが独立しています。そして自動糸切り機能もあるので足元で操作を完結させることもできるんです。
ヘビーユーザーにならないとこのありがたみはわからないかもしれませんが、自動糸切りが足元でできるのは便利です。

それもさることながら、フットコントローラーの応答性のよさにもびっくりしました。
強く踏み込むとミシンは縫うスピードが上がります。従来のフットコントローラーはこの踏み込みの加減が難しかった(私が下手くそなだけ)。「遅い。もう少し速くするか」と踏み込むや否やダダダーーーーッと暴走する恐ろしさがありました。新しいフットコントローラーは暴走しないのです。本体に「スピードコントロールつまみ」というものがついており、これを標準に設定しているだけでも暴走しない。すごい。
この四半世紀で職業用ミシンも進化していたんですなぁとしみじみしました。
国内メーカーのものを選んで欲しい
物価高だし趣味に使うお金は節約したい。そう思って安いミシンを買う人もいます。でも、予算が許すのであればよいミシンを買って欲しいです。道具はいいものを使うに限ります。弘法筆を選ばずなんて言うけれど、それは弘法だからであって凡夫は道具を選ぶべし。
よいミシンは高価です。だけど、一度買ったら手入れしつつ何十年も使えます。だからこそ、国内メーカーのミシンを選んで欲しい。Amazonで適当に安い海外製のミシンを買っても、きれいに縫えずすぐに壊れてどこも修理してくれず棄てるよりありません。
私は10数万円で購入したシュプールを26年間使いました。仮に120,000円だったとしましょう。4,615円/年です。安い。
このミシンではたくさんの服を縫いました。そして猫用ベッドや猫用おもちゃ、帆布のバッグなどを縫って売りました。元は十分取れているどころかお釣りがきます。
国内メーカーのものを買う人が増えれば、国内工場閉鎖の決断をメーカーもしなくて済みます。これは雇用にも直結するお話です。自分の消費行動が日本の生産力を支えるかどうかに関わっているということを、大きな買い物をするときには考えてもらえたら嬉しいです。
JUKIさん、応援してます。また日本工場で職業用ミシンも生産してください。
