ハマスがイスラエルを攻撃したことがきっかけで、ガザ地区が非道な攻撃にさらされています。(2023.10.10現在)
ガザ地区に居住するパレスチナの人たちはガザ地区から出ることが禁じられているため、どこにも逃げられません。イスラエルによるホロコースト状態です。
ガザ地区は非常に狭く、世界で一番人口密度が高い場所として知られています。人間がぎゅうぎゅうに詰め込まれ、外との人や物資の行き来や職業の自由すら制限されています。そんなところにイスラエルは爆弾を叩き込み続けている。ガザの人口比率は50%が16歳未満なのに、子どもも女性も非戦闘員もおかまいなしに殺す。それがイスラエルのいつものやり方です。
ガザ地区はイスラエルと地中海に挟まれた、長さ50km、幅5〜8kmに渡って細く延びる区域で、南端をエジプトに接している。種子島と同じぐらいの広さで、中心地のガザが東京駅の位置だとすると、北は足立区の北千住から、南は神奈川県横浜市までを斜めに囲むほどの大きさとなる。
【図解】もしガザ地区が東京にあったら?(パレスチナ情勢)https://www.huffingtonpost.jp/2014/07/16/if-tokyo-is-gaza_n_5591074.html
ユダヤ人はかつて自分たちもゲットーに押し込められ、ナチスに迫害された経験をしてきているのに、なぜ同じことをパレスチナの人たちに対して繰り返すのか。愚かなことです。
ハマスは大義名分を振りかざし事態を悪化させた。イスラエルはそれを利用してパレスチナを殲滅しようとしているとしか思えません。
イスラエル兵は日常的にパレスチナの人を老若男女問わず殺しています。通学通勤途中の人を突然とらえて尋問し、怯えて逃げようすれば暴行して殺す。イスラエル入植者たちはパレスチナ自治区の民間人の畑を嫌がらせのためだけに焼いたり、店を破壊し、施設を襲撃したりしています。日本ではまったく報道もされないから知らない人も多いと思います。
今回も、イスラエルはエジプト政府からの情報提供でハマスの攻撃を10日前には知っていたにもかかわらず、「先に攻撃してきたのはあいつらです!」と被害者面して過剰殺戮で反撃している。世界の輿論を味方につけたいわけですよね。そしてアメリカという後ろ盾があればこその傍若無人です。イスラエル国内でも、このような非人道的な攻撃にたいする反対運動も起きています。
パレスチナのこと
イスラエルとパレスチナの問題はどこから話を始めたらいいのか、いつも途方にくれます。
わたしがパレスチナとイスラエルの問題を知ったのは高校生の時でした。きっかけは「アラビアのロレンス」です。
たいへん大雑把にまとめると、国を持たないユダヤ人が、アラブ人が暮らしていた場所に力づくで割り込んで国を創った。それが国家としてのイスラエルです。この建国に際してはイギリスの三枚舌外交が大きく関与しています。
現在のパレスチナ自治区とイスラエルの両方を含む「パレスチナ地域」は、かつてアラブ人のイスラーム教徒、キリスト教徒、ユダヤ京都らがともに生活をし、宗教も民族も多様な地域でした。広さは約二七〇〇〇平方キロメートル(関東地方より小さい)、地中海に面し、オリーブや小麦、オレンジなどが育つ豊かな土地です。
十六世紀前半からはオスマン帝国下でしたが、地元のアラブ人は自治的な暮らしをしていました。十九世紀後半にヨーロッパ諸国が中東地域にも植民地支配を広げはじめ、中東世界が分割されていきます。第一次世界大戦後、パレスチナ地域はイギリス委任統治領となりました。
『パレスチナの ちいさな いとなみ』(高橋美香、皆川万葉, かもがわ出版 2019)
1947年からの軍事侵攻でユダヤがアラブから土地の77%を奪い、イスラエルを建国しました。土地を奪われた側のアラブ人はどうなったのかといえば難民となるしかなく、その後、度重なる中東戦争のたびにイスラエルはアラブ側の土地を占領してきました。
こういう経緯で創られた国:イスラエルなので、土地を奪われた側の抵抗は容易に想像がつくと思います。
何百年も前から暮らしてきた土地を奪われ家族を殺され、移動の自由も職業の自由も奪われて、反発するなというほうが難しい。今回の大惨事のきっかけをつくったハマスは、イスラエルによる占領の終結とパレスチナの解放を目指しています。ただ、イスラエルとの和平には反対し武装闘争を行うため、日本で欧米経由の報道にばかり接していると「なんか物騒なイスラム原理主義組織」「悪者」とばかり感じてしまうかもしれません。
武力という解決手段が問題だということは報復合戦状態になっている現状をみれば、子どもでも理解できます。それなのに、誰もこの負の連鎖を止められない。21世紀にもなって殺しあいがやめられない。
2023年10月11日にイスラエルはガザ地区への送電、水と燃料の供給すべてを停止しました。
赤十字の救急隊員にガザへ入って救護活動を行う許可をイスラエル政府は出しましたが、ガザに入った赤十字の救急隊員等を狙い撃ちし10名を殺害しました。もう殺すことしか考えていない恐ろしさです。
Twitter(現・X)のパレスチナ人医師の最後のツイートをみてください
Soon, the last sliver of electricity and connection will be exhausted. If I die, remember that I, we, were individuals, humans, we had names, dreams, and achievements, and our only fault was that we were just classified as inferior.
https://x.com/belalmd12/status/1712044964920664535?s=46&t=Upf4gGy798_wBTeIuB06sQ
もうすぐ、最後のわずかな電力と接続も尽きる。もしわたしが死んだら、わたし、いや、わたしたちが個人であり、人間であり、名前や夢、業績があったことをおぼえておいてほしい。わたしたちの唯一の瑕疵は、劣っていると分類されてしまったことだけだ。
知らないから怖い
ヒトは知らないものに恐怖や嫌悪を感じ、遠ざけようとします。それはヒトが何百万年もかけて培った生存戦略だから、この反応をやめることはできません。そうはいえど、ここまで自覚できている段階に現代のわたしたちはいるわけです。
そうとなったらやることはひとつ、「知る」ことです。
とにかくまずは知って欲しい。パレスチナ自治区で暮らしている人たちのこと、そこでの暮らしのことを知ってほしいと切に思います。世界が無関心であることは、困難な状況にある人たちに「世界から見捨てられた」という絶望を生んでしまいます。
無関心は、「全然知らない人たちがどんな目に遭おうとも構わない」という姿勢から生じます。知ることで「知らなくて怖いモノ」から「知っているコト」になり、個人としてSNSなどでつながればもう「知っている人」になります。
そうなったらもはや無関心ではいられません。
わたしがBelal医師を「知っている」のと同じように、これを読んでいる人たちにもパレスチナ自治区に暮らす人たちをひとりでも知って欲しい。その人たちが日々ごはんを食べ子どもの世話をし仕事をしている、ということを知って欲しいのです。
『パレスチナの ちいさな いとなみ 働いている、生きている』
高橋美香 文・写真 × 皆川万葉 文『パレスチナの ちいさな いとなみ 働いている、生きている』(かもがわ出版 2019)は、複雑なパレスチナとイスラエルの問題を簡潔にまとめている良書です。
こちらの本はガザ地域の中での人々の商売、仕事に焦点をあて、その背景を説明するスタイルになっています。常に紛争が絶えない場所であっても、人の暮らしは続いてゆくわけです。レストラン店員、美容師、パン屋、大工、漁師…たくさんの人たちの顔写真と仕事の様子、短く語られる難民としての人生がと胸を突き、「難民キャンプ三世」のことばの重さに驚きます。
ひとりひとりが生きて働いて暮らしている個人であり、誰の人生も踏みにじられてはならないとの思いを新たにします。
わたしはこの本を皆川さんご本人がいらっしゃった上映会で購入しました。
たまたま友人が『ソフラ 夢をキッチンカーにのせて』 というドキュメンタリー映画の上映会を企画し、その上映会に足を運んだことがきっかけでした。後日、皆川さんとわたしには共通の知人がいることがわかり人のご縁の数奇さにびっくりしました。
絶品のオリーブオイル
皆川さんはパレスチナ・オリーブというフェアトレードの合同会社を運営しています。
パレスチナ・オリーブは、1998年からパレスチナ北部ガリラヤ地方(1949年からイスラエル領)のオリーブオイルを、2000年からヨルダン川西岸地区(パレスチナ自治区)ナーブルスのオリーブ石けんと、ヨルダン川西岸地区(パレスチナ自治区)イドナ村の刺繍製品をフェアトレードで輸入、全国で販売しています。
毎年生産者を訪問し、通信「ぜいとぅーん」やお話会で、生産者の状況や人々の暮らしを伝えています。
https://www.paleoli.org/about-us/
こちらのオリーブオイルが文字通りの絶品です。どの人に勧めても「こんなにおいしいオリーブオイルは初めて食べた!」と言われます。6本からの販売になりますが、バゲットにつけたり自家製ドレッシングに使ったりパスタの仕上げにかけたりしていると、あっという間に使い切ってしまいます。食通の方への手土産にしてもまったく遜色ありません。
こちらのオリーブオイルには、オリーブオイル特有の舌に残るようなそこはかとないえぐみや匂いがほとんどありません。
他のオリーブオイルを一線を画すおいしさは、オリーブの実をひとつずつ手摘みし収穫から24時間以内に圧搾しているからだと思います。どちらも酸化を防ぐためにやっていることだそうですが、手間がかかることです。(スペインやイタリアの大規模なオリーブ畑では、幹をつかんで樹を震わせて実を落とす専用の機械を使ったり、樹から叩き落としたりしています)
また、このボトルにオイルを注いで栓をし、封をしてラベルを貼るのもすべて人の手作業でやっています。誇張表現なしでほんとうの「手作り」のオリーブオイルです。
こんな時だからこそ、パレスチナの人たちの収入につながる買い物をしたい。
現地に入って活動することも、報道することもできない一般市民のわたしたちにできる支援は限られていますが、おいしいオリーブオイルを買うことが支援になります。
「彩り、暮らす。」での「おすすめ」カテゴリーで最初に紹介するものはこれと決めていました。しかし、まさかこんな恐ろしい殺戮のニュースと共に紹介することになるとは思いませんでした。
1分1秒でもはやくイスラエルからの攻撃が止み、ガザのライフラインが復活してくれることを祈ってやみません。
パレスチナ・オリーブのオリーブオイルの購入はこちらから
上記の「パレスチナのちいさないとなみ」の著者の一人である高橋美香さんのトークイベントが2023年11月5日(日)に、東京の東久留米であります。事前申込制です。パレスチナのことを理解するきっかけになると思いますので、ご興味ありましたらぜひご参加ください。