飽きっぽいわたしが唯一40年以上続けていることが棒針編みだ。小学四年生のころからずっと編んでいる。
かぎ針編みもいっときやってみたが、わたしには不向きですぐにやめた。
英文パターンとの出会い
編み物というと日本ではおばあちゃんの趣味というか、もっさりしたデザインのいかにも「手芸」な作品が多いイメージだ。残念ながらこれは事実だ。日本の誇る編み図は素晴らしいとは思うけれど、編み物の本に載っているパターンで洗練されたものは少なかった。
それに、約束事や決まり事が多すぎて自分のアレンジを入れる隙がない。好みにあわせてサイズ変更したくてもこれがまた難しい。目の増減の計算が煩雑だったり、サイズはねらったとおりになってもどことなく間延びした印象になってしまったりする。
Mサイズで完璧にみえるデザインが多いんだろうと思う。わざわざ自分で手を動かして編むのだから、サイズ変更ぐらい自在でなくては困るのに。そういう不満から、いっとき編み物から遠ざかっていた。
だけど英文パターンと出会って一気にまた編み物が楽しくなった。もうね、ほんとに世界が変わったんですよ。ええ。
日本のパターンに比べて自由度が高いしサイズバリエーションが豊富で、やりたい放題といってもいい。
作り目や最後の目の始末も用途にあわせてあらゆる方法がある。靴下ひとつとっても踵の編み方が数種類あるし、さすが羊毛文化圏の技術は奥が深い。四角四面な決まり事よりも、機能的なものをいかに綺麗に、クリエイティブに編むかが大事だとわかる。
Ravelryで英文パターンを読み漁る
ラベリーという編み物に特化したコミュニティサイトがある。編み物に興味がある人はぜひ登録してみてほしい。英語版しかないけれど、世界中の編み物好きが集ってパターンを公開している。有料パターンも無料パターンもある。
手始めに湯たんぽカバーなんかどうかしら。
https://www.ravelry.com/projects/YoungFolkKnits/maxine-hot-water-bottle-cover
今はAIが英文パターンも翻訳してくれる。かなり自然な日本語になるから驚くけれど、編み物の基礎知識がないと翻訳のおかしさに気づけないので要注意だ。
手編みを綺麗な作品に仕上げるには
初心者には竹製の棒針
最近また編み物ブームがやってきているようだ。手編みの編み地を綺麗にしあげるには、とにかく手が安定していることが肝要だ。編み目がゆるかったりきつかったりしないほうがよい。初心者や手がゆるい人には竹製の棒針がおすすめで、プラスチックや金属製はおすすめしない。スルスルと糸がすべってきつくしすぎたり、逆にゆるゆるになってしまうからだ。
ウェットブロッキングで編み地を整える
とはいえ、こまぎれの時間をやりくりして編んでいると、均質な編み地にならないこともある。
そんなときにはウェットブロッキング(編み上がったら洗剤で水洗いし、出来上がりサイズに合わせて要所要所をピンでとめて乾かすこと)で編み地はかなり綺麗になる。
間違えたらほどいてやり直す
これはあまりに当たり前なのだけれど、編み進めてから間違いに気がついたらほどいてやりなおす。
見て見ぬふりをして編み進めようとしても、編み込み模様ならどこかで辻褄が合わなくなるし、アランならモチーフのひとつが不細工になって目についてしまうものだ。単色の糸での編み地なら、段をまたいで間違えたところまで糸をほどいて編み直すことも可能だが、たいていは全ての目をびびびびーーーーっと解くことになる。これがもう実に悔しい。でも仕方がない。
このところ靴下やベレー帽等こものばかり編んできたから、今季こそセーターを編み上げたい。
実はふたつのセーターを編みかけている。片方は2年越しになってしまった。まずい。あのパターンと出会った時からもうじき10年経過してしまう。一段300目のメリヤス砂漠に突入してから、モチベーションが下がって靴下編みに逃げていたのだった。
わたしとリアルで会う機会のある人は、「あれ、どうなった?」とチクチクいってやってください…