わたしは猫が大好きで、離婚後は猫と1日も早く暮らせるようになることを目標にしてきました。
広さ・予算・立地の条件が許す中で猫飼育可の物件を探し、11件もの物件を巡って最終的に府中市に越したのは、2020年の初夏でした。不動産屋の担当者がすっとこどっこいで色々と大変な目に遭いました。いやもう、ほんと、不動産屋の言うことを信じたらいけないと痛感した…という話はどこかに書いておきたいです。
単身者でも猫と暮らしたい
それはさておき、猫をお迎えしたいと思っても単身者は愛護団体・保護団体から断られることがよくあります。
譲渡する立場からしたら、単身者はリスキーだからです。いちばんの懸念点は、単身者=単身世帯では猫のお世話係が1名しかいないこと。その人が倒れたり病を得たりして猫の世話ができなくなったらどうなるの?という点です。これに尽きます。
また、お世話係が働く社会人1名しかいない場合、猫が体調を崩した時にすぐに病院に連れていってくれないのではないかというのも気になります。留守番の時間が長いのもリスキーです。猫が室内で事故を起こしても(特に子猫や若い猫は無謀なことをします)、人が帰宅するまで気がつけないのも恐ろしいですよね。厭なことを書くと、その人が猫を虐待するようになってしまった場合、抑止力になる家族がいないという点も、単身者を敬遠する理由のひとつです。
わたしも猫を里親さんに託したことが数回あるので、譲渡する側が慎重になる気持ちはとてもよくわかります。狭量だとか偏見だとか、そんなふうに責める気にはまったくなりません。猫の幸せは飼主次第ですから。
でも、やっぱり猫と暮らしたい。
単身者でも譲渡OKという条件で、保護猫を探しました。
たどりついた理想の猫
犬や猫をお迎えしたい人と譲渡したい団体/個人とを繋ぐ、ペットのおうちというサイトがあります。譲渡対象となる動物のいる地域・動物の性別・毛色・譲渡条件などを細かく設定して検索可能です。
わたしはそこで「東京都・成猫・サビ柄・単身者も応募OK」という条件で検索し、杉並区にいた一匹のサビ猫にたどりつきました。
2018年の夏、多頭飼育崩壊家庭から保護しました。
https://www.pet-home.jp/cats/tokyo/pn300896/
小さなケージに3匹一緒に入れられていて、お水もロクにもらえていない状況でした。
ネグレクトされていたせいで人との暮らしにあまり馴染めていないところもあり、他の猫とも良好な関係を築くのが苦手のようなので一頭飼いがおすすめですと書いてありました。飢餓状態からのレスキューだったこともあり、レスキュー後は普通の量しか食べていないのにむくむくと太ってしまったそうでした。
おおきな大人猫でサビ柄でボブテイル。くりくりの目。左右で色の違うお手々と、サビ猫好きのわたしの理想の猫でした。
やや緊張気味で「油断ならねえな」とでもいっているような目つきがステキ。人馴れイマイチでも、猫風邪症状が慢性化していようと、下部尿路疾患の既往症があろうとかまうことはない。年単位で慣れてくれれば御の字だわと思って即問い合わせしました。
成猫を迎えるメリット
里親募集をかけて2年間、お問い合わせすらなかったというまる。
保護主さんも預かりさんもわたしからの問い合わせに面食らっているような様子でした。
残念なことに、サビ柄の猫は日本では不人気な毛色で里親募集が難航するケースが多く、また、子猫に比べて、シャイな大人猫は敬遠されがちだったりします。
しかし大人猫をお迎えするメリットはたくさんあります。
猫飼い初心者さんやわたしのようにお世話係が1名しかいない家庭に向いていると思います。大人猫は子猫に比べて落ち着いているし体が出来あがっているので、家の中での事故や容態の急変というリスクが子猫よりも低いのもメリットです。実際、まるはたいへんおとなしく、大声で鳴くようなことも最初の1年間はありませんでした(私が甘やかしたので、今では大声で元気よくゴハンを催促する猫になりました)。なにかあったらすぐに病院へ連れてゆきますが、それでも年に数回です。
基本の性質がわかっているからミスマッチが起こりにくいのもそのメリットのひとつです。
わたしはいわゆるお膝猫やストーカー猫のような、いつもくっついてべったり甘えてくるタイプの猫は苦手です。独立した大人同士の付き合いがしたい。だからまるが人馴れイマイチと言われても別に気にしませんでした。攻撃的でなければいいし、通院や投薬が著しく困難でないのなら十分だと思っていました。
猫だって感情があります。
自分の意思と無関係に知らない人の家に連れてゆかれて、「今日から家族だから仲良くしろ」といわれても「は?!なにそれ」ですよね。信頼できそうなのか、どんな距離なら安心してつきあえそうかを見定めるところからのスタートになります。
猫によっては時間がかかるだろうし、もしかしたら人が望むような懐き方はしてくれないかもしれません。
だけど、それは仕方がない。「猫と暮らしたい」という単なるエゴにつきあってもらっているんだから、そのうえ、こちらが望むような猫であってもらいたいなんて虫が良すぎます。
まるはうちにやってきて1ヶ月ほどでわたしにも馴染みはじめてくれ、予定していたより短い期間でトライアル終了、正式譲渡となりました。
抱っこや爪切りは苦手なのがわかっていたから最初は無理にせず、ブラッシングやお顔拭き(目やにや鼻水をこまめに拭いてやる必要があります)でスキンシップをとり、適度にかまわないでいたら「どうやらこいつは怖くない」と認めてもらえたようでした。
ほどなくして夜はベッドで一緒に眠るようになりました。それ以来ずっと夜は一緒に寝ています(自慢)。
大人猫も、なつく猫はなつきます。大人猫「だから」なつかないということはありません。
ただ、そのタイミングは猫それぞれです。猫が気持ちに折り合いをつけるのを待つことが苦しすぎるなら、保護主さんに相談されるのがいいかと思います。
まる、10歳
保護された時に5歳、譲渡された時には7歳だったまるも今年で10歳です。
うちはおばさん二人暮らしだねとよく言うのですが、女同士、仲良くやってます。
ブラッシング大好きで掃除機が大嫌い。中芯が入ったしっかりした弾力の猫ベッドは好きだけど、芯の入っていないふにゃふにゃベッドは嫌い。蒸しタオルで拭かれるのも満更ではなく、鶏肉が大好き。飼主をベッドの端に追いやり脚を枕がわりにして寝る。このふてぶてしくも愛しい様子を見ていると、元気で長生きしてほしいと心から願わずにはいられません。