マフラーをベレー帽にリメイク

今年も更衣(ころもがえ)のシーズンとなった。もう何シーズンも使わず、衣装ケースに出したり入れたりだけ繰り返しているモヘアのマフラーがある。色と風合いがとても気に入っているのに、敏感肌のわたしにモヘアはあまりに向いていない素材だった。
いずれ捨てるのであればやってみたいことがある。ベレー帽へのリメイクだ。

素材としてのマフラー

モヘアなのでふんわり軽い。陽に透かすとこんなふうにざっくりしているのが判る。何度かのクリーニングを経て、最初は立っていたモヘアの毛はフェルト化してきている。このふんわりふかふかした風合いが魅力なので、接着芯は貼らないことにした。

細いマフラーで幅が足りず、前回作ったベレー帽の型紙は使えない。フリンジ付近は使えないから長さの制約もある。柄のある女性用マフラーは、素材としてはややトリッキーだ。
8枚はぎではこの大きめなブロック柄が活かせない気がする。6枚はぎぐらいがちょうどよさそうだ。

参考にした動画

型紙を起こすとき、こちらの動画を参考にした。これをもとに、好みの形とサイズ元(サイズもと。帽子のかぶり口のサイズのこと)になるよう幅や高さをアレンジしている。

前回の柄合わせの後悔を活かし、今回はちゃんと柄の出方を意図して裁断(いつもそうしなさいよ…)し、2枚ずつ3組に縫ったところ。

裏布には母が染めた絹の反物(ハギレ)を使うことにした。下の画像では彩度が高くなってしまったが、実物は一斤染(いっこんぞめ)と今様色(いまよういろ)の中間ぐらいの渋い色の桜模様だ。
これはわたしの振袖の試し刷りだった。母が振袖用の図案を先生に指導されつつ創り、染色用型紙を彫り、試し染めをした時のものだ。母が染めてくれたわたしの振袖は、水色から桜色のグラデーションの美しい豪華なものに仕上がっている。3回ぐらいしか袖を通していなくて申し訳ない。思い入れのあるハギレなので、何にしようとずっと考えて35年もしまい込んでいた。35年!書いていてギョッとするやら呆れるやら。

普段ピンクや紫の服を着ないので、手持ちの素材が少ない。でも、図らずも思い入れがあるのに活かせなかった素材をふたつ組み合わせてベレー帽に仕立てることができて嬉しい。

サイズテープの代わりにグログランリボン

サイズテープ代わりにくすんだピンクのグログランリボンを使った。モヘアやシルクには光沢感がある。その光る加減にあうよう、リボンも光沢のあるものを選んだ。最初、綿生地でテープを作って使うつもりだった。が、当ててみるとチグハグ感がひどくて「ゲッ!こんなのやだ!」と心の底から叫んでしまった。
手元にある素材で縫うことができず、新たな資材を購入してしまったのは残念だったものの、納得のゆく仕上がりになったので満足している。

グログランリボンはこちらのお店で購入した。たくさんの綺麗なリボン、テープ、ブレードがあって目移りする楽しさだから、ぜひみんなにも見て欲しい。
まんま母さんのリボン

出来上がったベレー帽は軽くて温かく、しかも色が綺麗でかぶっていて楽しい

捨てるには忍びない衣類やマフラー、ストールなど、みんなどうしているんだろう。
もう使わないと分かっていても色や素材が気に入っていて手放したくない。思い入れがあって捨てたくない。思い切って捨てることもある。捨てたら意外と清々したわ!となればよい。しかし、捨てずに手元に置いておきたい気持ちも、わたしは大事にしたいのだ。