惜別の春

今年の春は喪失感に満ちたものとなった。
2月に叔母が逝き、先日は猫ベッドのお客様のMさんが亡くなった。
つらい。
文章にするため心を凝視するのもつらく、3月、4月とブログを放置し気味に過ごしていた。

叔母の形見分け

先日、叔母の形見を分けてもらった。アパレル業界に長く生き世界各地を旅行してきた叔母らしく、模様や色、素材の面白い陶磁器や花器、オブジェなどがたくさんあった。願わくは、「これは⚪︎年にXXXに行った時に買ったXXなのよ。ちょっとここが面白いと思って」等、本人から解説を聴きたかった。ほんとうに。
わたしはやちむんの急須や革のバッグ、ハギレなどを分けてもらってきた。

やちむんの急須。脚がついている。

やちむんの急須

この三彩の急須はわたしのところにやってきてから毎日のように活躍している。保温性のよさとむっちりした佇まいから鯛茶漬け用の番茶をいれてもよさそうだなとか妄想が膨らんでいる。

あかしあはちみつは急逝したMさんからのいただきもの。大事に食べます。

実用品だし使わないのかと叔父に確認したところ、「いい。それ、何焼きなの?」と。
関心がなければわからないものなんですなぁ。
やちむんは沖縄の陶器だ。「焼きもの・焼きもん」が沖縄のことばでは「やちむん」となる。唐三彩を思わせる色味が好きで、三彩のマグカップとお皿を7年前に買って大事に使っている。
わたしは死んだら後にコレクションを形見として分配してくれるような子どももいないので、食器などはできるかぎり増やさないようにしている。とはいえ、好きなものに囲まれて暮らす悦びは手放しがたい。

叔母はこの急須のどこに惹かれて買ったのか、はたまたどなたからどんな経緯があっていただいたのか。
そんなことに思いを馳せつつ、せっせとお茶を煎れて飲んでいる。

Mさんのことは以前こちらの記事に書いた。
ご一読いただければ嬉しいです。