この話は、食事中やその前後には読まないことをお勧めいたします。
猫好きなら猫のお尻=肛門すら眺めて愛でてしまうことと思う。わたしもそうだ。便のキレの状態をチェックするのも健康管理の一つだ。異物がついていたら寄生虫や、誤飲・誤食にも気がつける。猫を愛するならお尻もぜひチェックして欲しい。
△から⬜︎へ 無毛地帯の形が変わった
まるの肛門周りがなんだか「ぶん」としているとうっすら感じ始めたのは1ヶ月ぐらい前からだ。
通常、健康な成猫の肛門とその周辺の無毛地帯は、三角おにぎりのような格好で見える。が、まるのそこは正方形のような、角の丸い四角形のようだった。存在感が増した。どういうことだ。
なんだろうと思いながらも深く気にすることもなく過ごしていたら、ある日、右の肛門腺の出口がやや腫れたようにでっぱってきた。出口は分泌物の大きく黒い塊で詰まってしまい、うまく排出できていないのだろう。しかもその周辺の一部がやや赤い。
破裂しちゃまずい
これはまずい。放置したら肛門が破裂してしまう。
「猫のお尻が破裂した」とよく聞く。肛門嚢からの分泌物が上手に排泄できないまま肛門腺に溜まり、炎症を起こした挙句、周辺組織が自壊するのだ。今のまるの状態は、多分その数歩手前だ。
こういう時にひとり暮らしは厄介で、嫌がる猫を保定しつつ肛門腺を上手に搾ることなどできない。まるはおとなしい猫だが、お尻周りを無理に触られるのはまっぴらごめんという様子でぬるりするりと逃げ出してしまう。
もうプロにお願いするよりない。翌朝、朝イチでクリニックへ電話をし、急患扱いで診てもらえることになった。

分泌物がとんでもなく溜まっていた
結果、まるの右の肛門腺から、ドン引きするぐらい大量のブツが搾りとられた。控えめに言ってグロいので、細かな描写は避けるが、いやもう、出るわ出るわ。驚くほどの量でわたしも唖然となった。もはや大柄な中型犬の分泌物の量じゃない?!と内心で叫んでしまった。
獣医師の先生はさすがプロで、冷静に手早く次々と処置してくれたが、まるは嫌がり粘り強く暴れた。いやはや、素人がひとりでなんとかしようとしなくて正解だった。
右側の方は中が少し膿み始めていたようだった。抗生物質を処方されて汗だくで帰宅し、まるに早速投薬した。
「膿んで破裂してしまってからだと、治療も長引くし治癒まで時間がかかって大変です。早めに気がついてよかったですね。それにしてもよく気がつきましたね」と、獣医師に言われた。毎日まるの尻を眺めていることがバレてしまった。(だって見せつけてくるから…)
定期的なケア推奨
量と質から「この子は毎月1回ぐらいの頻度で肛門腺を絞ってあげたほうがいいかもですね」と言われたのだが、頭がいたい。
というのも、最近のまるはキャリーバッグ=通院で怖くて嫌な思いをすると学んでしまい、キャリーバッグに入れられるのを断固拒否するからだ。今回も上機嫌で寝ているところをシュッと掴んでキャリーバッグに押し込んで通院した。まるは非常に怒っていた。すまない。まる。
まるの偉いところは帰宅後すぐに落ち着きをとりもどし、ご機嫌も直ることだ。キャリーから出て5秒後には「さ、ご褒美のおやつがいただけるんでしたよね?」とおやつをねだりにやってくる。

何にしても早めに手を打ててよかった。
「猫は手がかからない」と思っている人がいたら、それは大間違いだ。注意深く観察し、少しの変化にもたかを括らないでほしい。体調不良を言葉で伝えられない猫のことを、よく見てやってほしい。あなたにとって猫は人生のいっときを共に過ごすだけの相手でも、猫にとってあなたは全生涯を共に過ごす相手だ。どれほど大切にかわいがっても、大切にしすぎるということはない。