ストウブでパンを焼いてみる

ハードブレッド3種類の写真

ストウブ鍋でパンを一度は焼いてみたい。しかしわたしは素人だ。
それならプロの書いた本をみればいいじゃない!ということで、『ストウブでパンを焼く』(誠文堂新光社, 2021)をみながら挑戦してみた。(※この本は表紙等を撮影してネットに上げることを版元が禁止しています。画像なし、リンクでのご紹介です)

全工程写真入りで基本になるパン(ハードブレッドと柔らかい生地のパン)の作り方が説明してあって、メニューも豊富でみているだけで楽しい。

カンパーニュなどの油脂分が少ないハード系パンは、家庭用の電気オーブンではなかなか難しいもの。
原因は蒸気不足とファンです。
これが生地の表面を乾燥させてパンがふくらみきらないのです。
ストウブに入れてふたをして、オーブンで焼くことで、鍋の中でパン自体の持つ水分が蒸気となり、クープが気持ちよく開いて中はしっとり。
味もよく、見た目もかっこいいパンを焼くことができます。

池田愛美『ストウブでパンを焼く』(誠文堂新光社, 2021)

こんなことが書いてあったらやってみたくなろうというものだ。賞味期限の都合で使ってしまいたい強力粉があるから、やってみよう。

生地が厄介

もうのっけから身も蓋もないことを書いてしまうが、生地の扱いが下手くそすぎて自分でも呆れた。

ステンレスボウルでカンパーニュの生地を休ませているところ

ベトベトねちょねちょするので「カードを使ってこねる」と言われてもひと苦労だ。
必死でやっていたら前腕の回内筋と屈筋が痛だるくなってきた。厳しい。
生地の捏ね作業はホームベーカリー任せで、型に入れて焼くだけを自分でやっていたわたしにはなかなかハードルが高い。どの状態まで捏ねればよいのか。その見極めはどうしたらいいのか。そういうことが写真でも文章でもわからない。

どうにかそれらしい状態にして、冷蔵庫の野菜室で一次発酵させるところまではこぎつけた。

成形が難しい

2日後の朝、野菜室から生地を取り出してしばし室温におき、いい感じに膨らんでいるのを確認したら成形だ。

一見するとよさそうにみえる。しかしここからが難しかった。

パン捏ねマットの上で成形しているパン生地の画像

マットに接している側は、キュッキュと寄せた生地がごちゃごちゃになっている状態なのだ。ごちゃついたまま焼いたら、その形に焼けてしまう。だから、この生地を一旦ひっくり返して裏側の生地をつまんできれいに閉じないとならない。

書籍の写真をみると、左手に生地を持ち、右手でつまんで閉じている様子が写っている。

手の上でやるの…?

ここで嫌な予感がちらっとしたが、やらねばなるまい。

思い切ってえいっと持ってみたが、つまみ作業をしている間にも、左手に持った生地が容赦なく垂れてゆく。
せっかく生地の表面を張らせたのに垂れるなー!

想定外の出来事が続く

中腰姿勢でパン生地を持ってあたふたしていたら、なんとギックリ腰をやらかしてしまった。痛みにびびりながら、左手から垂れゆくパン生地をなんとかボウルに戻した。
ここから室温で二次発酵だ。発酵を待つ間にオーブンを230℃で余熱せよと書籍には書いてある。230℃で蓋をしたまま20分焼いて、次に蓋をとって23分焼くことになっている。

ヨレヨレしながらオーブンを操作する。うちの電子レンジ兼オーブンは床上50cmにあるので地獄の中腰で。
腰ゆわせてる時にここに重いストウブ鍋を入れるって大変だわと思ったけれど、ここまできた生地を放置するわけにもゆかない。

えーと、温度を230℃にして…ピッ(180℃)、ピッ(200℃)…
スカ… スカ…
あれ?温度が上がらない。どういうこと?

慌てて取説を引っ張り出す。山膳のオーブン機能付き電子レンジは最高温度が200℃までだった。
200℃って、いくらなんでも温度が低すぎやろ。
まさかオーブンの最高温度が200℃までとは思わず適当に買った数年前の自分を叱る。よくみなさいよ!温度を!

何度もいうが、ここまできた生地を放置したところでどうにもならない。
わたしがとるべき道はひとつだけだ。太平洋戦争の日本軍よろしく、勢いだけで無理のある作戦を突き進む。二次発酵完了後の生地に強力粉をふるい、クープナイフでクープをいれ、温めたストウブ鍋に移し、いってらっしゃい!

みごとに失敗

やはり失敗作となってしまった。
230℃で一気に加熱するところを200℃で焼いたのでは、パン生地がふわっと膨らまないに決まっている。
見た目はそれほど失敗していないように見えるけれど、切ってみたら気泡が全然入ってない。一部、食パンみたいな断面に爆笑してしまいぎっくり腰に響く。

カンパーニュ
惨敗カンパーニュ

成形失敗しているし、焦げているし、開いたクープの割れ目ももはや苦悶の表情にみえてくる。実は、デロンギのオーブントースター(240℃までになる)に、蓋をとってから後の工程は任せたのだ。が、庫内が狭くて、電熱線に近いところが焦げちゃった。
最初200℃、仕上げは230℃って肉焼いているんじゃないんだからさ…って言いたいよね。ごめん…とパンに謝る。

もっちりどっしり外側はバリッと硬くて顎が疲れました。咬筋を鍛えたい人はぜひ。


食べられないほどひどい出来ではなかったのが救いだ。うちでストウブ鍋でのハードブレッドは焼けないと判っただけでよしとする。
次は200℃〜180℃で焼くソフト系のパンに挑戦しよう。