アフリカ製ワックスプリントのバッグ

彩り、暮らす。の画像

アフリカのワックスプリントの生地をやっと形にした。
「ファブリックパネルでも作るか」なんて考えてはやめ、「日傘にしようか」と考えたが用尺に足りず、9年も寝かせてしまった。鳥が威勢よく飛んでいる意匠が気に入っている。

この布はそもそもおかしな布で、鳥の頭が全て上を向く方向でプリントされている。
布の縦がバッグの長尺方向になるように裁断して縫うのが普通だが、それをすると模様としておかしなことなる。鳥が真上へ向けてすごい勢いで飛んでいるか、はたまた真っ逆さまに墜落しているか。布の方向に合わせたらそんな絵面(えづら)になってしまう。流石にそれはいかがなものかと考え、鳥が横向きになるように裁断した。

接着芯に悩まされる

秘蔵の布をいざ裁断し、雑貨用として売られている薄手の不織布の接着芯を貼った。これがペラッペラで何の役にも立たなかった。
低温〜中温でしっかりつきますというのが謳い文句だったのに、全然接着されない。なんだこれはと怒りを覚えて全てぺりぺりと剥がしてやった。日暮里でちゃんとした布(繊維で織られているという意味)の接着芯を購入して貼った。アフリカンプリントは布としては薄いので、バッグにするなら中程度の厚みの接着芯を使った方がいいだろう。

裏布の色をどうする

次に裏布の色に1週間近く悩んだ。最初は山吹色のシーチングにしたのだが、表布の強さと釣り合わずつまらない。補色から少しずらした色の組み合わせは王道だけれど、落ち着いた雰囲気にしたいわけではないのだ。こんなに表布の色味がクレイジーなのに、落ち着きを出してどうする。
そして、布バッグといえどクタクタと頼りないのでは困る。しっかり形を保ってほしいから厚みのある布でなくてはならぬ。
「強めで明るすぎない赤で、11号帆布より少し厚め」と決めて探し、手元に布が届くまで更に1週間かかってしまった。

上糸・下糸で違う色を使う

ここまで極端に色が違う布同士を組みあわせると、どっちの色にも合う糸は存在しない。上糸は青、下糸は赤、時にはその逆にしたりパーツによっては上下とも同色にしたりしてこまめに糸を替えながら縫った。自分で縫うからこそできる芸当で、大抵の既製品の縫い糸は1色だ。

上糸は青、下糸は赤でトップステッチをかけた

裏布に選んだ10号オックスは打ち込みの甘い布で、裁断した端からもろもろとほつれて糸に戻ってしまうのにはずいぶん手こずった。カーブや細かい部分で解いて縫い直そうとすると、どんどん横糸が落ち縫い代が縦糸だけになってしまう。一発勝負の布なんだと思い知った。だからかなりアラの目立つ仕上がりになったが、まぁ、自分が普段使いで使うだけなのでよしとする。

元にしたバッグのパターン

元にしたバッグはこちらの動画で紹介されているものだ。

見た目と縫い方の両方が面白かったから縫ってみたのだが、使ってみると非常に使い勝手のよいデザインだった。
真ん中の広いコンパートメントのほかに、前後に2つの薄くて深いポケット状のコンパートメントができる。前後のコンパートメントは薄いからものが迷子にならない。サッと取り出したい交通系ICカードやエコバッグなどを入れておけば、バッグの中に手を突っ込んでゴソゴソ探さなくて済む。これがとても便利でよかった。

柄に方向のない布なら、90〜110cm幅で1mあれば作れる。手元に少し厚めの布があったらぜひ縫ってみてほしい。